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指示文を入力するだけで文章や画像を瞬時に生成するAI(人工知能)が、建築設計の分野でも使われ始めている。隈研吾氏は「AIによって建築設計者と素人の境界が溶けて、誰でも建築家になれる時代が来る」とみる。
くま けんご 1954年生まれ。90年に隈研吾建築都市設計事務所を設立。慶応義塾大学教授、東京大学教授を経て、東京大学特別教授・名誉教授。「国立競技場」や「角川武蔵野ミュージアム」などの話題作を次々に手掛ける。国内外で様々なプロジェクトが進行中(写真:稲垣 純也)
隈さんの事務所では、ChatGPTのような対話型AIや、精細なイラストなどを出力する画像生成AIを活用していますか。
所員はMidjourney(ミッドジャーニー)などの画像生成AIをよく使っています〔図1〕。使い方は様々ですが、僕の事務所ではAIを主に「否定の材料」として活用しています。
「否定の材料」とは。
例えば、パース画像が欲しい場合、AIに「隈研吾の建築」を学習させて、「隈研吾」「低層オフィス」「森の中」といったワードを入力するだけで、これまでに僕が設計した建物と似たデザインを生成してくれます。
ですが、僕の事務所の所員に求められるのは「隈研吾をどう超えるか」。だから、AIが生成したデザインとは異なる、これまでの傾向からは想像できないようなデザインにチャレンジするために、検討の幅を広げるツールとしてAIを活用しているのです。
生成AIに頼ることで、設計者の発想力や創造力が低下するようなことになりませんか。
今のAIはイメージを生成することを得意としていますが、僕たち設計者はイメージだけでなく「使いやすい空間になっているか」といった様々な観点で建築を追求しなければなりません。AIが生成したイメージを活用しながら、自分たちの提案をどうブラッシュアップさせるかが、設計者に求められるようになるでしょう。
将棋の藤井聡太名人は、AIが打つ手を参考に、自分ならどのように対応するかを研究しているそうです。僕たちもより効率的に、自分たちの求める「解」を見つけるために、どんどんAIを使っていくつもりです。
そもそも建築設計者が、特別なクリエーティビティーを持っていると言えるのでしょうか。設計者はまさに生成AIのように、これまでの経験や今ある技術、素材などをプロジェクトに応じて選択し、建物を設計してきたのではないでしょうか。
AIにイメージの生成をさせても、最終的なデザインを「選択」し、使いやすい空間に磨き上げるのは人間の仕事です。AIが普及しても、設計のプロセスが変わるだけで、設計者の仕事の根幹が変わることはないでしょうし、設計者が生み出す建築の質が下がることもないと思います。
では逆に、生成AIの登場で大きく変わることは何だと思いますか。
コンペやプロポーザルにおけるプレゼンテーションの概念は大きく変わるでしょうね。
これまではプレゼンに必要な資料をつくる際に、設計者が図面を描き、空間に対してイメージを与えていくというプロセスを経ていました。ですが、AIを活用すれば、テキストを入力するだけでコンセプトをまとめたり、いきなりパースを作成したりできます。
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June 22, 2023 at 12:01AM
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AIで誰でも“建築家”になれる、「下克上の時代」を楽しめるか - ITpro
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