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設計者同士の交流が鍵、アトリエへの期待に応える - ITpro

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進撃のアトリエJV

Part3 負のスパイラルを断ち切れ

小山 航

日経クロステック/日経アーキテクチュア

全1996文字

アトリエ系設計事務所にとって、公共建築設計への参加はハードルが高い。実績を積みたくとも積めない負のスパイラルに陥りつつある。状況を打開するため、日本建築家協会(JIA)も対策に動き始めた。

奥野 美樹氏(おくの よしき)

奥野 美樹氏(おくの よしき)

日本建築家協会 東海支部顧問(写真:本人提供)

 「プロポーザルは生ものに近い。どんな参加要件で、いつ公告されるのか読めない。その都度、自社の経営状況とのバランスを見て参加の決断を迫られる」。あるアトリエ系設計事務所の代表は取材でそう漏らした。

 特に公共建築は、設計競技でも公募型プロポーザルでも、参加要件に類似用途の実績を求められることが一般的だ。設計対象が大規模になるほど要件が厳しくなることも多い。

 実績以外にも、小規模事務所はビハインドを背負っている状況だ。

 例えば、大手組織設計事務所や大手建設会社と比べて、圧倒的にヒューマンリソースの差がある。進行中のプロジェクトを抱えながら技術提案書を作成する人員や時間を確保する難しさが常に付きまとう。設計業務を受注できなければタダ働きとなるリスクの大きさは桁違いだ。

 情報収集力の差も大きい。どんな案件があるか、共同企業体(JV)を組める他社はどこか。大規模組織のように、必ずしも広報部や営業部のような部隊を抱えているわけではないため、実務者の負担は大きくなる。

設計者間の交流を促すJIA

 設計事務所にとって“負のスパイラル”ともいえる状況に対し、建築の職能団体も支援に動き出した。日本建築家協会(JIA)は、会員である1級建築士の情報を保存するデータベースを充実化させ、会員の連携強化を図ろうとしている。設計者間の交流や情報交換を密にする狙いがある。

 設計経験や保有資格だけでなく、得意な用途やJVの経験、研究成果なども整理。会員の才能を「見える化」する予定だ。コンペやプロポーザルに協力してくれる人材を募集する掲示板のような機能も盛り込む。どんな人材を探しているか、会員が意思を示す場とする〔図1〕。

〔図1〕複数あったJIAの名簿を統一へ

〔図1〕複数あったJIAの名簿を統一へ

日本建築家協会(JIA)が作成を手掛ける新しいデータベースの機能例。公開を急ぐべく、新機能の精査とユーザーインターフェースの改良を進めている(出所:日本建築家協会の資料を基に日経アーキテクチュアが作成)

[画像のクリックで拡大表示]

 システム開発を担当するJIA東海支部の奥野美樹顧問は、「建築士同士のジョイントの方法をつくっておかないと、優秀な人材が活躍できない。できるだけ早い時期に運用を開始したい」と、危機感をあらわにする。

 プロポーザルに詳しい東北大学大学院の小野田泰明教授は、プロポーザル参加者の負荷を軽減する配慮が必要だと指摘する。「例えば、二次審査通過者にもフィー(報酬)を支払う。長いスパンで建築界の人材確保を考える必要がある」(小野田教授)

 多様な建築ニーズがあふれる時代に、提案力やデザインを武器にするアトリエが活躍する余地は大きい。金沢美術工芸大学や京都市立芸術大学の事例が、それを物語っている。

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May 23, 2024 at 12:06AM
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