深津弘
岐阜市民会館（岐阜市美江寺町2丁目）が、文化的価値のある「日本におけるモダン・ムーブメントの建築」に選定された。近代建築の保存や調査に取り組む国際学術組織「DOCOMOMO（ドコモモ）」の日本支部が発表した。
モダン・ムーブメントは20世紀の建築の潮流の一つで、線や面の構成が美しい建築が多数生まれた。ドコモモ日本支部は2000年から保存が望まれる全国の建築物を選定しており、今回発表した14件を含め計264件となった。
岐阜市民会館は、近代建築の巨匠のル・コルビュジエに師事した羽島市出身の建築家、坂倉準三氏（1901～69）が設計し、67年に完成した。
多様な色合いのタイルが張られた円錐（えんすい）台形の大ホールを、上から見て「L字」の低層部が取り囲み、「巧みな構成によって、市民のための空間を生み出した建築」と評価された。
耐震補強工事をし、現在もホールや会議室などとして使われている。岐阜市によると、コンクリートの劣化で築65年になる2032年に耐震補強工事の設計強度を下回る可能性があるため、「目標使用年数」を32年にしている。以降の継続については、強度の再調査を実施して決めるという。
県内での選定は、羽島市旧庁舎と藤村記念堂（中津川市）に次いで3件目。
羽島市旧庁舎も坂倉氏の作品で、昨年の新庁舎完成後は使われていない。市の諮問機関は今年2月、「耐震性に乏しく、将来にわたり維持していく財政負担を市に強いることは現実的ではない」とし、「解体が最良」と市に答申。日本建築学会東海支部は3月、「極めて高い価値を有する」として保存活用を求める要望書を市に出している。（深津弘）
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June 10, 2022 at 08:30AM
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