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公共建築百選 歴史と民俗の博物館 建築ファン魅了の端正なたたずまい 埼玉1/100の旅 - 産経ニュース

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天井の荷重を支える小梁が大空間を演出している=さいたま市大宮区(山本玲撮影)

日本的な風景を色濃く残す大宮公園の一角。県政100年を記念して建てられた県立博物館は、平成18年の統合を経て、県立歴史と民俗の博物館としてリニューアルした。広く歴史や民俗史をたどれる常設展示のほか、藍染めや勾玉(まがたま)づくりが体験できる工房も併設されるなど、幅広い世代の学びの場として長きにわたり愛されてきた。設計はル・コルビュジエに学び、いくつもの公共建築を手がけた前川國男。多くの建築ファンも訪れるという端正なたたずまいの同館は、その細部にまで、前川の繊細な美意識が宿っている。

エントランスから館内に足を踏み入れるとまず、内部空間の広大さに心が躍る。向かって右手には喫茶店やミュージアムショップが入る休憩コーナー、左手には常設展示の入り口が見渡せ、閉じられた室内にいるはずだが、そうとは思えぬ解放感を感じられる。広く取られた開口部からは柔らかい陽の光が差し込み、床に敷かれた艶のあるタイルがぬれたように光る。

内部が広いのには秘密がある。コンクリートでできたいくつもの小梁が天井の荷重を支えることで、がらんとした空間を実現できるのだ。それだけでなく、緊張感のある小梁のデザインは、博物館全体の洗練された印象を決定付けている。

常設展示では「埼玉における人々のくらしと文化」をテーマに、旧石器時代から現代までを全10室に分けて紹介している。そのうちの一つである民俗展示室は定期的に内容が更新され、現在は「火とくらし」と題し、嵐山町の炭焼き窯の様子の写真や、五穀豊穣(ごこくほうじょう)や天下泰平を祈願して打ち上げられる秩父市の龍勢(りゅうせい)の解説などを見ることができる。学芸員の井上海さんは「祭礼行事などで使われる火と、埼玉の人々の関わりについて民俗学の方からアプローチをした」と展示の経緯を語った。(山本玲)

■メモ ▽所在地=さいたま市大宮区高鼻町4の219▽アクセス=東武野田線大宮公園駅から徒歩5分。東北自動車道岩槻インターチェンジ(IC)から約25分▽関連情報=県立歴史と民俗の博物館周辺には県営大宮公園野球場や鉄道博物館などがある。

公共建築百選 建設省(現国土交通省)の設立50周年を記念し、平成10年に選定委員会によって選出され、発表された。昭和23年から平成7年3月までに完成した全国の公共建築が対象。主な選考基準は地域への貢献度で、地域に根差した優れた建築物が各都道府県から1カ所以上、全国から100件が選ばれた。県内で選出されたのは県立博物館で、平成18年に県立民俗文化センターと統合し、現在の県立歴史と民俗の博物館になった。ほかに県内からの選出はない。

隣都県からは、正三角形のパネルを組み合わせて建てたシンボルタワーが特徴的で、建築家の磯崎新氏が設計した水戸芸術館(茨城県水戸市)や、全面ガラス張りで意匠性の高いロビーが特徴の群馬音楽センター(群馬県高崎市)、3年近くの歳月をかけ昭和49年に竣工(しゅんこう)した最高裁判所(東京都千代田区)などが選ばれている。

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November 26, 2023 at 09:00AM
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