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いよいよ夏休み間近。各地でさまざまな建築イベントが開催されている。現在、東京国立近代美術館で開催されている『ガウディとサグラダ・ファミリア展』は、貴重な展示物が数多く並び、この夏必見の展覧会だ。
会期は2023年6月13日~9月10日まで。今回の展覧会はサグラダ・ファミリアに焦点を当てて、ガウディの建築思想と造形原理をひもとくものだ。ガウディ本人によるオリジナル模型など、貴重な展示物が多く並ぶ本展。その模様をリポートする。
アントニ・ガウディ(1852~1926年)はバルセロナを中心に数多くの建築を残したスペインを代表する建築家だ。その内7つは「アントニ・ガウディの作品群」として世界遺産として登録されている。スペイン北東部バルセロナで140年以上、建設が続くサグラダ・ファミリア聖堂もその一つ。長らく「未完の聖堂」といわれてきたが、いよいよ完成が視野に入り、ガウディ没後100年に当たる2026年竣工を目指している。
東京国立近代美術館企画課長の鈴木勝雄氏によれば、このタイミングで展示会を行う理由について「2021年12月にはマリアの塔の頂上に星が設置され、その様子はバルセロナだけでなく世界中で報道された。サグラダ・ファミリアはスペインのシンボルであるだけでなく、一国を超えて世界中の希望になっている。その状況の中、ついに完成が見えてきたため、今回の展示に踏み切った」と話した。
今回の展覧会は4部構成。図面、模型、彫刻、写真、映像など多様な展示物が並び、その数は100点を超える。
第1部「ガウディとその時代」では、学生時代の図面やドローイングなどが展示されている。特に注目すべきなのは、ガウディの残したものの中で数少ない文字の資料である「ガウディ・ノート」だ。直筆の建築論について記されたノートで、ガウディの底に眠る建築理論を垣間見ることができる。
他には、パリ万国博覧会のショーケースのデザインをするための名刺裏のスケッチも展示されている。この仕事をきっかけに、後のパトロンとなる資産家アウゼビ・グエルと知り合うことになったという。
第2部「ガウディの創造の源泉」では、歴史、自然、幾何学の3つをテーマに、それぞれの側面からガウディの創造の源に迫る。
個性的で唯一無二ともいえる造形が特徴的なガウディだが、本人は「ゼロからの創造」を否定しているという。存在しているものから学び、発見することから創作は始まるということだ。3つのテーマ「歴史」「自然」「幾何学」はガウディが学んだもの、つまりガウディの創造の源泉といえる。
その中でガウディが特に深く研究したのが幾何学だ。数々の模型製作により見出した幾何学から、ガウディは放物面といった特有の造形を生み出した。
本展のメインともいえる第3部「サグラダ・ファミリアの軌跡」では、聖堂の起源から現在までの軌跡をたどる。
着工した翌年の1883年から1926年に亡くなるまで、ガウディは43年間をこの聖堂にささげた。「サグラダ・ファミリアにはガウディの全てが詰まっている」と現在の主任建築家ジョルディ・ファウリ氏は話す。本展では放物線状の柱や樹木式構造など、第3部で見た自然、幾何学がふんだんに応用されている様子を模型や彫刻から見る。
サグラダ・ファミリアの外観を彩る彫刻も多く展示されている。ガウディ本人が手掛けた彫刻に加え、見逃せないのは外尾悦郎氏による彫刻だ。外尾氏は1978年にスペインに渡航した後、ガウディに魅せられ聖堂の彫刻家になり、以来45年彫り続けている。
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August 01, 2023 at 03:00AM
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