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〈文化会館〉外観。かなり横に長い建物です。
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フィルミニの〈ユニテ・ダビタシオン〉。バルコニーの天井はところどころ赤く塗られています。
フランス、サン・テティエンヌはリヨンから電車で50分ほど、フィルミニはさらにそこから15分ほどのところにある街です。ここにはル・コルビュジエの都市計画に沿って作られた街があり、〈文化会館〉〈ユニテ・ダビタシオン〉〈サン・ピエール教会〉などが建てられています。ある意味でル・コルビュジエ建築の聖地といえる場所です。
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〈サン・ピエール教会〉は外壁掃除中でした。蒸気を高圧で吹き付けて、コンクリートについた苔をとります。
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〈サン・ピエール教会〉の内部では壁にあいたたくさんの穴から光が入ります。一部はオリオン座がモチーフです。
これらのうち〈文化会館〉はル・コルビュジエの生前に完成しましたが、〈ユニテ・ダビタシオン〉は生前に着工したものの完成は彼の没後に、〈サン・ピエール教会〉は没後に工事が始まり、完成したのは2006年のことでした。いずれもル・コルビュジエ得意のカラフルな色合いと、建築家・作曲家だったヤニス・クセナキスがデザインした窓などの特徴的な設計です。予約制ツアーもあり、通常は公開していない〈ユニテ・ダビタシオン〉の住戸や学校も見ることができます。とくに〈サン・ピエール教会〉内部の光は特別なもの。ル・コルビュジエのエッセンスを堪能できます。
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墓掘り人の後ろに、踊ったり楽器を演奏しながら宴会する人々が小さく描かれています。
サン・テティエンヌに戻って現代美術館を訪ねてみましょう。1987年に開館した〈サン・テティエンヌ近現代美術館〉は、近現代美術に関してはパリのポンピドゥー・センターに次ぐコレクションを誇る美術館です。企画展のほか、2021年1月3日まで開かれている長期インスタレーションではこの美術館の基礎となったモーリス・アルマンドのコレクションが展示されています。Claes Jacobest Van Der Heckというオランダの画家の《Le fossoyeur》(墓掘り人)にはタイトル通り、画面いっぱいに墓掘り人が描かれています。てっきりメメント・モリ、死を想えという主題かと思ったらそうではなくカルペ・ディエム、今を摘め(楽しめ)という絵でした。
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壁のグラフィックがゾフィー・トイバー=アルプ、右の彫刻がジャン・アルプの作品です。
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デュシャン《Rotoreliefs》。回転するレリーフ、といった意味でしょうか。円盤には「日本の魚」と書かれています。
上の写真で壁にかかっているのはゾフィー・トイバー=アルプ、手前はジャン・アルプの彫刻です。二人は20世紀初頭に活動していた芸術家カップルでした。当時は、そして残念ながら今もその傾向はありますが、女性アーティストにはあまり日があたらなかった時代です。ハンス・アルプは自分の作品が展示されるときにはゾフィーの作品も並べるように、と指示していました。カップルとして、またアーティストとして互いをリスペクトしていた様子が浮かんできます。
もう一枚の写真はマルセル・デュシャン。彼がこんなかわいい作品をつくっていたなんて知りませんでした。回転する円盤にとりつけてくるくる回すアートです。いくつか図柄がありますが、その中に「日本の魚」と書かれた金魚の円盤がありました。デュシャンもジャポニスムに影響を受けていたとは、ちょっと意外な気もします。
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〈アトリエ・ヴェイス〉ショップ内にある、オリジナルのチョコを作ってくれる工房。蛇口からチョコレートが出てくる、夢のようなキッチンです。
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〈アトリエ・ヴェイス〉壁のグラフィック。1800年代にさかのぼる、チョコレートとデザインの街サン・テティエンヌの歴史が描かれています。右下にある網状の四角形が、工房で作ってもらえるチョコレートです。
〈アトリエ・ヴェイス〉はチョコレートメーカー、WEISS(ヴァイス)の工場に併設されているショップと工房です。ここでは自分の好みでオリジナルのチョコレートを作ってくれます。独特の網状になったチョコレートは2017年、フランスでグッド・デザインを表彰する「オブセルヴール・ド・デザイン」のうち、とくに優れたものとして「エトワール」を受賞しました。もちろん見た目だけでなく味もすばらしい。
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巨大な赤いベンチ。座るためにはよじ登らなくてはなりません。
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サン・テティエンヌ駅前広場にある青い馬のオブジェ。
サン・テティエンヌの街中を歩いていると突然、大きな赤いベンチや青い馬が現れます。これは2年おきに開かれている「サン・テティエンヌ国際デザイン・ビエンナーレ」で提案されたもののうち、評判のよかったものが恒久設置されるというものです。サン・テティエンヌは工業や炭鉱で栄え、フランスで最初の鉄道やトラムが通った街ですが、1970年代から炭鉱が閉山になるなどそれらの産業は衰退し、街から活気が失われてしまっていました。
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国際デザイン・ビエンナーレが開かれる〈シテ・ド・デザイン〉。
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炭鉱跡は現在、ミュージアムになっています。展示のほか、かつての坑道に入れるツアーもあります。
この国際ビエンナーレは1998年に始まり、2006年からはデザインに関する展示施設やショップ、ラボなどがある〈シテ・ド・デザイン〉で行われています。次回は来年、2021年に開催される予定です。こうしたビエンナーレ、トリエンナーレを開いて一部の作品を恒久設置することでシビック・プライド(市民の誇り)を取り戻すという手法は日本でも見られますが、大半が芸術祭であり、デザインに特化したものは珍しいと思います。炭鉱跡も現在〈サン・テティエンヌ鉱山博物館〉として公開されています。街の個性をいかにして打ち出していくのか、さまざまな試みが行われています。
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March 03, 2020 at 07:00PM
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