新国立競技場の設計者として広く名前が知れ渡った建築家の隈研吾だが、その後もものすごい勢いで作品が増えている。関わったプロジェクトは、未完のものや展覧会なども合わせると、1000件に近づいていると言う。その全体像を追うことは、それなりに建築を追いかけてきたつもりの自分のような建築ライターにとっても難しくなっているのだが、それをわかりやすい形で伝えてくれるガイドブックが出た。『隈健吾建築図鑑』。国内の主要作品から50件を選び、手描きのイラストを使って解説している。絵と文の両方を担当している宮沢洋は、建築専門誌の編集長を務めていたので、建築解説のツボは外さない。隈研吾の入門書としても、薦められる一冊だ。昨年、高知で始まった「隈研吾展 新しい公共性をつくるためのネコの5原則」が、まもなく東京へと国立近代美術館へと巡回するので、その予習にもよいだろう。 【ブラジル】隈研吾が初めて手がけた、家電量販店の全貌とは?
絵のタッチは、建築のプレゼンテーションで用いられるパースとは違って、ゆるい感じのものだ。隈研吾の建築といえば、テクステュア・マッピングで表面に素材の画像を貼り付けたような、デジタルな感じを特徴としていたのだが、こうして眺めると手描きのイラストが意外と似合う。隈本人も、本書に収録された対談で「表現方法とまとめ方がうまくいっている」と発言していて、まんざらではないようだ。近年の作品には、木や石などの素材を小さな単位で部材化し、膨大な数のそれを組み合わせたり、積み上げたりすることによってつくられたものが多い。これをイラスト化するのはたいへんだったにちがいないが、結果としては、その手描きの苦労の跡に、隈によるデザインの特徴が上手く表現されることにもなった。
冒頭には、「隈建築進化図」というチャートが付されている。隈作品を系統図の上に並べる試みは、2018年に東京ステーションギャラリーで開かれた展覧会「くまのもの」でも行われていて、それは素材と工法による整理だった。本書では「びっくり系/しっとり系/ふんわり系/ひっそり系」と、建物を訪れたユーザー側が受ける印象によって4つに分類している。このうち2000年以降に増えてきたのが、日常をより楽しくする空間を目指した「ふんわり系」だとする。本書に盛り込まれたもう一つの企みが、ひとつひとつの作品にオノマトペを付けて、特徴を表したこと。M2は「コテコテ」、ところざわサクラタウンは「ゴツゴツ」。このあたりには納得がいくが、新国立競技場の「ジワジワ」には一見、?となる。これは外周部の緑が育つにつれて次第に見た目が変わるからだそうだ。なるほど。
磯 達雄 建築ジャーナリスト
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May 25, 2021 at 05:08PM
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