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モダニズム建築、活用か解体か 熱海の前川國男設計「住宅」、民泊施設に再生 保存へ調査と評価進む|あなたの静岡新聞 - @S[アットエス] by 静岡新聞

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 世界的建築家ル・コルビュジエに師事し、戦後の建築界をけん引した前川國男(1905~86年)が戦前に設計した熱海市内の木造住宅が民泊施設として再生され、新たな保存のあり方として関心を集めている。一方、建物の一般的な耐用年数は50~70年といわれ、コルビュジエの流れをくんだ戦後モダニズム建築の多くが保存か解体かの岐路に立たされている。

海を一望できる大きな窓と高い天井、丸柱が特徴的なテーテンス邸を改修したジョン・キャンティロンさん=2月下旬、熱海市伊豆山
海を一望できる大きな窓と高い天井、丸柱が特徴的なテーテンス邸を改修したジョン・キャンティロンさん=2月下旬、熱海市伊豆山


 住宅はドイツ人空調技師アウグスト・ペーター・テーテンスのために設計し、42年完成した。2006年に購入した米国人ジョン・キャンティロンさん(67)が改修し、仲間と民泊「稲村ハウス」として昨夏開業後、前川建築と判明した。

 ■重文級の価値
 今後は宿泊費を運営に活用し、冊子の発行やツアーなどの観光活用も視野に入れる。運営する佐々木幸寿さん(58)はこの事例に関する論文を、近代建築の記録・保存を目的とした国際組織「ドコモモ」が今夏東京で開く国際会議で市民の立場から発表する。
 同会議実行委員長の山名善之東京理科大教授(建築史学)によると近年、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関であるイコモスや文化庁も、建造時のままの保存から、修理・改装し観光施設などに活用しながらの保存に方針が変わった。「当時最先端の暖房技術が導入された可能性が高いテーテンス邸と、戦中戦後の熱海伊豆山地区における知識人別荘地の“発見”は、重要文化財級の価値がある。当時の技術を守りつつ活用してほしい」と期待する。佐々木さんは「泊まれるモダニズム建築は異例。民泊は保存の解決手段になり得る」と話す。

 ■残しづらさ
 一方、テーテンス邸近くに同時期建てられた前川の別荘は約5年前に解体された。前川建築設計事務所の橋本功所長は約30年前に保存のため視察に訪れたが、前川の死後は調査が難しくなっていた。「住宅は家族の成長や時代とともに変化する上、別荘地の個人住宅は公にはされず、残りづらい」と話す。
 現代数寄屋建築を確立した吉田五十八が設計し、戦没者や戦災者の追悼のために旧清水市が59年建立した忠霊塔も3月、惜しまれつつ解体が決まった。背景には遺族会の高齢化や耐震性不足のほか、コンクリートの保存技法が未確立なことも大きい。尖塔(せんとう)が特徴的なデザインも「外観を生かした補強は難しい」と静岡市の担当者は説明する。

 ■見慣れた景観
 近年は、前川國男建築設計事務所(当時)出身の丹下健三が手掛けた広島平和記念資料館(55年)をはじめ、モダニズム建築が重要文化財に指定され始めた。ただ、十分な評価がされないまま取り壊される事例も増えている。この現状を受け、文化庁は2015年度、戦後から20世紀末までに造られた建築を対象に緊急調査を始めた。それ以前は、リストも公的には存在しなかった。
 18年度に県内で実施した同調査は、解体される忠霊塔も対象だった。調査した常葉大の土屋和男教授(近代建築史)は「学校や団地、病院など、戦後のある世代にとってはあまりにも見慣れた景観で価値がわかりづらい」と分析し、身近な町並みを地域の財産として見直す機運づくりの必要性を訴えた。
 (文化生活部・菊地真生)

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March 25, 2021 at 07:07PM
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