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「この路線がなぜ?」 混雑率全国2位、福岡の私鉄に乗ってみた - 毎日新聞

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朝のラッシュ時に西鉄貝塚線の名島駅から貝塚駅行きの列車に乗り込む通勤客ら=福岡市東区で2022年8月4日午前7時58分、井上俊樹撮影
朝のラッシュ時に西鉄貝塚線の名島駅から貝塚駅行きの列車に乗り込む通勤客ら=福岡市東区で2022年8月4日午前7時58分、井上俊樹撮影

 国土交通省が7月に公表した2021年度の鉄道混雑率調査の結果を見て驚いた。福岡市を走る西鉄貝塚線の混雑率が全国ワースト2位だったからだ。地方の私鉄が東京都心の地下鉄やJRよりも混んでいる――。本当だろうか。気になったので実際に乗ってみた。

午前8時8分発、貝塚行き

西鉄貝塚線
西鉄貝塚線

 国交省は、全国の主な路線のうち最も混み合う2駅間の朝のラッシュ時1時間の車内の平均混雑率を毎年調査しており、21年度は東京都足立区などを走る都営の日暮里・舎人(とねり)ライナー(赤土小学校前→西日暮里)の混雑率144%が、前年度に続きワースト1位。西鉄新宮駅(福岡県新宮町)と貝塚駅(福岡市東区)の11キロを結ぶ西鉄貝塚線は、福岡市の中心に向かう際に最後の2駅となる名島駅から貝塚駅までが最も混み合い、混雑率は140%だった。

 結論から言えば、思ったほどではないというのが正直な感想だ。8月4日朝、名島駅で駅員が「最も混む3本のうちの1本」と教えてくれた午前8時8分発の貝塚行きに乗り込んだ。ドア付近は確かにかなり混み合っているが、「ワースト2位」という響きから想像するようなぎゅうぎゅう詰めではない。

 とはいえ、地方の私鉄としてはかなり混雑している方だろう。通勤のため数十年来利用しているという男性会社員(69)は「今は高校生が夏休みなのでいつもよりすいている。混んでいる時はホームで駅員が乗客を押さないと乗れないこともある」と言う。

2両編成で福岡市の郊外を走る西鉄貝塚線の列車。沿線ではマンション開発が進み人口が増えている=福岡市東区の名島駅で2022年8月4日午前7時47分、井上俊樹撮影
2両編成で福岡市の郊外を走る西鉄貝塚線の列車。沿線ではマンション開発が進み人口が増えている=福岡市東区の名島駅で2022年8月4日午前7時47分、井上俊樹撮影

 混雑理由は単純だ。貝塚線はかつて同県福津市まで延びていたが、07年に西鉄新宮駅から先が廃線になったのに合わせ、3両編成から2両編成に減り、ラッシュ時の運行本数も減便(現在は1時間に6本)された。いまだ単線でローカル線のたたずまいも残すが、近年、マンションや宅地の開発が急速に進む沿線は福岡市内でも最も人口が増えているエリアの一つだ。

 一方、同じ西鉄でも主要路線の天神大牟田線(平尾→薬院)はラッシュ時、6~7両編成で1時間に18本を運行する。1時間の輸送人員(21年度)は、貝塚線(2076人)の8倍近い1万5798人だが、混雑率は113%にとどまった。貝塚線が混雑するのは、乗客の数に輸送力が見合っていないからだ。

新型コロナも影響

全国の鉄道混雑率ワースト10路線
全国の鉄道混雑率ワースト10路線

 だが、これだけでは貝塚線が全国ワースト2位になる説明としては十分ではない。国交省が示す混雑率の目安は▽100%=立っている人も全員がつり革や手すりなどにつかまれる▽150%=広げて楽に新聞を読める▽200%=体が触れあい相当圧迫感があるが、週刊誌程度なら何とか読める▽250%=電車が揺れる度に体が斜めになって身動きができず手も動かせない――状態とされるが、首都圏では200%超の路線も珍しくなかった。

 では混雑率が140%にすぎない貝塚線がワースト2位になったのはなぜか。理由は新型コロナウイルスの感染拡大だ。コロナ前の19年度、ワースト1位は東京メトロ東西線(木場→門前仲町)の199%だった。ところが、感染拡大に伴う在宅勤務の広がりなどで順位は大きく変動。東西線は20年度、一気に10位(123%)まで順位を下げ、21年度も8位(128%)に。19年度に195%で2位だったJR横須賀線(武蔵小杉→西大井)は21年度、混雑率が110%にまで緩和されワースト10路線から姿を消した。

 逆に順位を大きく上げたのが、19年度に混雑率が158%で31位だった西鉄貝塚線だ。20年度は5位、21年度が2位と急浮上。貝塚線もコロナ禍で乗客は減っているが、19年度と21年度のラッシュ時の輸送人員を比べると、東西線の32・2%減に対し、貝塚線は11・5%減にとどまり、結果として混雑率も東西線や横須賀線ほどは緩和されなかった。

ロングシート化により乗車定員を増やした日暮里・舎人ライナーの新型車両=東京都交通局提供
ロングシート化により乗車定員を増やした日暮里・舎人ライナーの新型車両=東京都交通局提供

 19年度のワースト10路線はすべて首都圏の鉄道だったが、21年度は貝塚線の他にも、4位にJR可部線(可部→広島)、7位にJR信越線(新津→新潟)が入った。いずれも地方の中心駅に向かう通勤・通学路線だが、輸送力は高くない。つまりコロナ禍でも首都圏ほど乗客が減らなかった地方の、かつ元々混雑していた路線が相対的に順位を上げたというのが、今回の調査結果のからくりだ。

 西鉄は貝塚線に限らず、混雑率を150%以内に抑えることを目標にしているという。コロナ禍で貝塚線も現状は目標内に収まっているが、同社は今後も沿線の人口増が見込まれるとして「将来的には車両の増結や増便など何らかの混雑緩和策を検討していく必要はある」としている。

混雑率1位、舎人ライナーは緩和策

 一方、2年連続で混雑率が全国ワーストだった日暮里・舎人ライナーは、日暮里(東京都荒川区)と見沼代(みぬまだい)親水公園(足立区)の9・7キロを結ぶ新しい路線として08年に開業した。沿線は都内でも数少ない鉄道空白区だったが、利便性が増したこともあり近年、マンションなどの開発が加速。1日当たりの平均乗車人数は初年度の4万8943人から、コロナ前の19年度には9万737人と1・8倍以上に増えた。

 ただ、ゴムタイヤの車両で高架橋を走る新交通システムの日暮里・舎人ライナー(5両編成)は車両が小さく、1両当たりの定員は都営地下鉄の中では比較的コンパクトな大江戸線と比べても半数程度の約50人しかない。ラッシュ時の輸送力(21年度)は1時間に4720人で、大江戸線(1万5600人)の3分の1以下だ。

 混雑緩和の一環として、東京都交通局は今年6月、新型車両を1編成導入。従来の車両は片側がロングシート、片側が進行方向に向かって座る変則的なシートだったが、すべてロングシートにして通路を広くすることで立って乗れる人数を増やした。既存の12編成を順次更新することにしているが、1編成当たりの定員は245人から262人の微増にとどまる。交通局は「車両を増結するにはホームの延長などが必要。ラッシュ時の運行間隔(1時間に19本)も既に目いっぱい」としており、当面、大幅な混雑緩和は難しそうだ。【井上俊樹】

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August 05, 2022 at 03:00PM
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