薮塚木材工業
薮塚木材工業と関連会社のＫ．テクニカは６月１４日、東京地裁から破産開始の決定を受けた。薮塚木材工業は１９６０年創業。木工家具の加工と、大手パチンコメーカーの下請けとして木枠の製造を手掛け、近年は遊技機器の木枠・裏箱製造がほぼ１００％を占めていた。
遊技機器木枠・裏箱の製造業者は、全国でも数が少なくニッチな業界で底堅い需要があり、２０１９年１２月期は売上高約１６億円を計上していた。
しかし、２０年１２月期は新型コロナウイルス感染拡大の影響から、ギャンブル等依存症対策基本法の改正規則に対応した新台への入替期限が１年延期となった。これにより新台の入れ替えを控える動きが顕著となったことで受注が減少し、売上高は約１０億円に落ち込んだ。
さらに２０年１０月、Ｋ．テクニカとの間で循環取引による粉飾決算を続けてきたことが発覚、金融機関からの資金調達が困難となった。ファクタリング業者を利用して資金繰りを維持していたが、取引先にも粉飾決算が発覚し、信用が失墜。事業継続が困難になった。
建築や
建築やは５月２８日、横浜地裁相模原支部に破産を申請した。
戸建て住宅や共同住宅の新築工事を主体に、リフォーム工事なども手掛け、地元に密着した営業展開で、２０２０年９月期には完工高６億３８３５万円を計上していた。設立以来、増収で推移していたが、その一方で不採算受注が多く連続赤字を計上し、債務超過額は３億１５５３万円まで拡大していた。
こうしたなか、野口武昇社長が１７年１２月まで代表を務めていた則武地所（相模原市中央区）が施工したアパートで２１年４月、外階段崩落により住人が死亡する事故が発生し、信用が失墜、５月１９日には横浜地裁相模原支部より破産開始決定を受けていた。
同社と関係性が強かった建築やの事業環境も急速に悪化し、事業継続を断念した。
【会社概要】薮塚木材工業
▽本社＝群馬県伊勢崎市
▽設立＝１９６３年５月
▽資本金＝３５００万円
▽負債額＝約３１億２８００万円 （関連会社分を含む）
【会社概要】建築や
▽本社＝相模原市中央区
▽設立＝２０１７年１２月
▽資本金＝５００万円
▽負債額＝約２億円
〈チェックポイント〉
薮塚木材工業は新型コロナウイルス禍の間接影響を受けるなか、粉飾決算が発覚して信用失墜した。コロナ対応支援は官民一体で継続するが、不正行為が許されるわけではない。粉飾などのコンプライアンス違反に対して、金融機関はより厳しい姿勢で臨む傾向は変わらない。業績を糊塗（こと）する安易な経営判断の代償は大きい。
建築やは関係が深かった則武地所の破産申請でにわかに関心が集まった。もともと薄利経営で受注環境も悪化していたところに、則武地所の一連の事故と破産の余波を受けた。死亡事故については今後の捜査の行方など、社会的にも注目されている。それだけに単独での生き残りは難しかったといえる。（東京商工リサーチ常務情報本部長 友田信男）
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June 24, 2021 at 07:48AM
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